戻し交雑法による育種における連鎖の研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
戻し交雑法による育種では,一回親から導入する有用遺伝子(目標遺伝子)と農業上重要た量的形質を支配する遺伝子との間に不利な連鎖があると,育種を進める上での大きな障害となる。この研究では,戻し交雑集団におけるこのような不利な連鎖を評価するための統計遺伝学的方法を開発した。さらに,その方法の精度との関連で,実験に必要な系統数や反復数について論議した。両親となる自殖系を交雑し,雑種世代では正常な2倍性分離が起こるとする。遺伝子座間のエピスタシスはなく,目標遺伝子に関するヘテロ接合体が表現型により識別できるとする。目標遺伝子をB(その対立遺伝子をb)とし,最的形質を支配しBと組換え値cで連鎖する遺伝子をx(その対立遺伝子をX)とする。t回の戻し交雑によって得られるB_tF_1世代の遺伝子型頻度は第1表のとおりにたる。これらの個体を自殖してB_tF_2系統とL,B-b座の分離の有無に関して系統を群分けする。各群におけるX-x座の遺伝子型頻度は第2表に示すとおりになる。これら2つの系統群間の遺伝的差異がB-b座とX-x座との間の連鎖効果を表わすことになる。したがって,B_tF_2系統を適当な圃場試験計画で栽培して,農業上重要な最的形質に関して測定を行い,B-b座の分離の有無に関して2分した系統群間の遺伝的差異を統計的に検定すれば,目標形質と量的形質との間の連鎖効果を評価することができる。
- 日本育種学会の論文
- 1977-06-01
著者
関連論文
- 新しく登録された米国イネ3品種
- 戻し交雑法による育種における連鎖の研究
- 戻し交雑法による有用遺伝子の導入に関する研究 : II.自殖性作物における雄性不稔遺伝子利用による戻し交雑システムの提案
- 戻し交雑法による有用遺伝子の導入に関する研究 : I.イネのindica品種のいもち病抵抗性遺伝子導入上の問題点