イネの障害型耐冷性検定方法に関する一改善案について
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概要
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イネの幼穂発育期の厳密な障害型耐冷性の判定基準を得るため,1968,'70および1971年に障害型耐冷性の異なる22品種を出穂前40日ごろから出穂後5日ごろ まで5日あるいは2日ごとに14℃・5日間の低温処理を10数回連続行なった。種ごとに不稔調査を行ない,出穂前日数別に不稔歩合曲線を描き,不稔歩合のピークと低温感受性期間とを組み合わせて耐冷性を表示する方法について検討した。 各品種の厳密た耐冷性はS_<30>(不稔歩合曲線のピークを中心に前後30日間の平均不稔歩合)で算出し,従来の耐冷性の判定基準と比較検討した。さらに,S_<30>に代る比較的精度の高い耐冷性の表示方法として,S_<20>,S_<10>およびS_6について検討した。 1.S_<30>による耐冷性の評価は,従来の耐冷性の評価(S_0などによる)に比べて幼穂発育期の総合的な耐冷性として妥当である。 2.S_<30>に代る耐冷性の表示方法の簡便法としては精度および労力上,S_<10>による耐冷性表示が適当である。 3. これらのことから,障害型耐冷性を検定する場合,次の方法を提案する。すなわち,14℃・5日間程度の低温処理を止葉抽出始期前後に2〜3日ごとに連続3〜4回行なう。不稔調査を種ごとに行ない低温処理終了日から出穂までの日数別に不稔歩合曲線を描く。これより,不稔歩合のピークを中心に前後10日間の平均不稔歩合(S_<10>)を算出する。このS_<10>を用いて耐冷性の判定を行なう。
- 日本育種学会の論文
- 1975-02-28
著者
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