水稲の幼穂形成機構に関する研究 : 第2報 高温感応の時期について
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概要
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数品種の水稲について温度並びに栄養状態の変化が播種より山穂までの日数に及ぼす影響を測定した。感温性の高い早生種では高温に遭遇する時期が早いほど出穂が促進され,特に温度感応性の最も高い農林11号は高温の下で約40日で出穂した。また,窒素欠乏の状態では出穂は促進され,燐酸が与えられない場合は逆に出穂の遅延することを知つた。後者は特に低温で著しかった。次に農林11号について第4葉までを順次切断して高温の下で育て,幼植物時代の温度感応が第何葉で始まるかを調べたところ,第4葉または第4葉身を切ると出穂の遅れることが認められ,第4葉以上が高温に感じ,いわゆる花成ホルモンをつくることが明らかとなった。更に同じ品種を暗黒または光線不足,窒素欠乏等栄養生長をとどめるような処理をして高温を作用させたところ,大部分の植物は第5葉または第6葉を止葉として出穂した。特に1個体は葉数4で幼穂の形成がみられた。これらのことは上の事実を再確認すると共に,農林11号の基本栄養生長は第4葉出現期に既に終ることを証明している。この最高感温性品種の基本栄養生長期の決定は今後の水稲感温性の研究に資するところが大きい。
- 日本育種学会の論文
- 1959-06-25
著者
-
野口 弥吉
日本農業研究所
-
鎌田 悦男
農林省農試高冷地分場
-
野口 弥吉
Faculty of Africulture, University of Tokyo
-
鎌田 悦男
Faculty of Agriculture, University of Tokyo
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