グレインソルガム花粉の飛散時刻と飛散距離の推定
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概要
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グレインソルガムの採種において,交配操作中の他花粉との混り交雑を防ぎ,純度の高い種子を多量に採種するために,花粉の飛散時刻を調査した。雄性不稔系統(A-line)を稔性回復系統(R-1ine)あるいは雄性不稔維持系統(B-1ine)と隣接して栽培し,雄性不稔系統の開花終期に一定時間除袋処理を行った(実験1)。この結果,午前4時以前および午前12時以降の処理ではほとんど着粒が認められたかった。午前6時から10時までの処理で多くの着粒が認められ,この間が花粉飛散の最盛時刻と言える。本試験の結果から,花粉飛散の多い午前10時までに手掛け法(h・ndp・11inati・n)による人士交配を行えば多くの交配種子を得ることができるであろう。また,花粉飛散の少ない午後にビゾ掛け法(approach method)による人工交配を行えば交配操作中の他花粉との混り交雑を防ぐことができるであろう。純度の高いF_1種子を放任採種するのに必要た隔離距離を推定するために,A-lineを花粉飛散源の周囲に隔離栽培し,隔離圃場におけるA-line穂の着粒数を調査した(実験2)。この結果,着粒が認められた隔離圃場はいずれも花粉飛散源との距離が400m以内であった。しかし,隔離距離が400m以内であっても着粒が認められなかった隔離圃場もあった。隔離圃場が花粉飛散源の風上に位置し,かつ,人家に囲まれ,隔離距離が250m以内の隔離圃場では僅かに着粒が認められた。F_1採種の隔離圃場ではA-1ineとR-lineとが栽植されているため,例え,目的としたい異花粉の飛散があったとしても他殖の機会はかなり減少すると考えられる。本試験の結果から,純度の高いF_1種子を放任採種するために必要た隔離距離はおおよそ400ないし500mと推定される。ただし,立地条件を考慮に入れて隔離圃場を選択するならば,隔離距離はおおよそ250ないし300mまで短縮できるであろう。
- 日本育種学会の論文
- 1980-09-01
著者
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