異なる栽培環境下におけるグレインソルガム品種の鳥害とタンニン含量の変異
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概要
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グレインソルガム穀粒に含まれるタンニン成分は鳥害の軽減に有効であるが,家蓄の嗜好率や消化率にも関係している. そこで,グレインソルガムの鳥害抵抗性品種11F_1品種および非鳥害抵抗性品種28F_1品種を約200km離れた2ヶ所(ExpcrimentとPlains)に同一品種が異なる登熟期間をもつように栽培し(Exp-1:Exp-2,Plains-1:Plains-2),異なる栽培地と登熟期における鳥害程度とタンニン含量の変異と,それらの間の相互関係を調査して,次のような結果を得た. 鳥害抵抗性品種はRS700(Rating値で0.7)を除き,全く鳥害を受けなかった. しかし,非鳥害抵抗性品種はRating値で0(無被害)から約9(鳥害程度81〜90%)の鳥害を受けた. 非鳥害抵抗性品種の鳥害程度と粒色との間には一定の関係は認められなかった. しかし,鳥害程度と開花期との間にはExP-1(r=-0.784)とExp-2(r=-0.576)では負の,Plains-1では有意な正の相関関係(r=0.466)が認められた. これは試験区周辺における鳥の餌になる作物の多少と関係が深いと推察される. 鳥害程度の栽培環境間の比較では,Plains-1とExp-1(r=-0.507),Plains-1とExp-2(r=-0.610)との間にはともに負の有意な相関関係が認められた. しかし,ExP-1とExP-2との間には正の有意な相関関係が認められた(r=0.717). 品種と栽培地との交互作用は1%水準で有意であった. 非鳥害抵抗性品種には白粒から褐色粒までの変異があり,そのタンニン含量は0.2〜0%であった. 鳥害抵抗性品種は2.1%から7.8%のタンニンを含み,タンニン含量は栽培環境によって異なりPlains-1>Exp-1>Exp-2=Plains-2の順位であった. 品種と栽培環境との交互作用は有意であった. タンニン含量の栽培環境間比較では,Exp-1とExp-2(r=0.760),Plains-1とExp-2(r=0.601)との間には正の相関関係が認められた. しかし,Exp-1とPlains-1(r=0.506),Plains-1とPlains-2(r=-0.334)との間には有意な関係は認められなかった. 以上の結果から,鳥害圧が小さいと考えられる地域ではタンニンを含んだ鳥害抵抗性品種を栽培するならば鳥害はかなり軽減できるといえよう. また,ある栽培環境条件下において,高度な鳥害抵抗性や高タンニン含量を示した品種が他の条件下でも同じように高度な抵抗性や高タンニン含量を示すとは限らないと推察された.
- 日本作物学会の論文
- 1981-09-25
著者
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