チャの茎カルスからの植物体再分化
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概要
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チャの実生茎由来カルスからの再分化において,茎を組織別に分けることにより,不定芽の再分化や分化した不定芽に違いがあった. 茎.切片を表皮部分(表皮とその下数層の細胞層から成る皮層を含む部分),表皮部分を除いた残りの茎の部分(以下皮層部分を除いた茎という意味で,はぎとられた茎と表現する),茎そのもの(以下茎切片と表現する)の三種類に分けて外植片とし培養した.これら外植片から,MS培地に,IBA 2mg/l,BA4mg/lを加えた培地上でカルス誘導をしたが,カルス分化は表皮部分に較べ,他の2種類の外植片の方が早く,分化率も高かった(Table 1).これは表皮部分は薄く,小さいため,植付げ後褐変しやすいためであり,はぎとられた茎は,外植片表面全体が切断面であり,茎切片も切断面が大きいためカルス分化に差がみられたと考えられる.しかしカルスの増殖は,三種類の外植片で相違はなく,二ケ月間のカルス増殖後再分化培地に移した.再分化培地には,MS基本培地にIBA 0.5mg/l,BA 10mg/lを添加した.再分化培地にカルスを移植後,8過すると,表皮部分由来のカルスから不定芽の分化がみられ,不定芽の分化は,16週後までに植え付けた外植片に対して約20%のカルスにみられた.そして,それらの不定芽は,継代培養することにより,発根培地に移植可能な大きさにまで成長した(Table 2,Fig.2,Fig.3).しかし,茎切片由来のカルスは,小さい不定芽を分化し,その分化率はわずかで,これらの不定芽は,継代培養によって成長せず,その数だけが増加し,不定芽のかたまりをつくったり(Table 2,Fig・4),または,継代培養を続けるうちに,再びカルス化したりして,発根培地に移植出来る不定芽を得られなかった.また,はぎとられた茎由来のカルスからは,不定芽の分化はみられなかった.このようにして得られた,表皮部分由来のカルスからの不定芽はIBA 0.5mg/lまたは1mg/lを含む1/2MSの濾紙培地上で移植2週後から発根がみられ,6週後,幼植物は鉢に移植することが出来た(Fig.6).
- 日本育種学会の論文
- 1985-09-01
著者
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