イネのトビイロウンカ抵抗性の遺伝分析
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概要
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トビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph1, bph2, Bph3 およびbph4の相互関係を明らかにするため,各遺伝子を代表する抵抗性品種Mudgo,ASD7,Rathu HeenatiおよびBabawee問で相互交配を行なった。バイオタイプIのウンカ(上記4品種のいずれも抵抗性を示す)を用いて,F_1,F_2およびB_1F_1世代における抵抗性の分離を調べたところ,(1)Bph1とbph2ならびにBph3とbph4は密接に連鎖しているか複対立遺伝子のいずれかであり,(2)Bph1とBph3,Bph1とbph4,bph2とBph3ならびにbph2とbph4は互いに独立であると推定された。このことから,互いに独立な2遺伝子ずつの集積は比較的容易であるが,密接に連鎖しているか複対立の関係にある2遺伝子の集積は困難であると結論された。また,未同定の抵抗性3品種の遺伝子分析を行なった。まずAndaragahawewaがBph1,PTB34がbph2をそれぞれ持つと推定された。次にPTB21はBph1とbph4かbph2とBph3のいずれか2遺伝子を持つと考えられたので,PTB21由来のF_3系統をバイオタイプ別に検定したところ,バイオタイプIとII(Bph1をもつ品種を加害)には抵抗性(分離)を示す反面,III(bph2をもつ品種を加害)には抵抗性を示す系統がなかった。したがってPTB21はbph2とBph3をもつと結論された。一方,Bph3およびbph4の座乗染色体を明らかにするため,トリソミック分析を行なった。九州大学から導入された9種類のトリソミック系統にRathu HeenatiまたはBabaweeを交配し,F_2世代における抵抗性の分離をみた。Bph3およびbph4はいずれもトリソミックC型系統とのF_2において,3:1または1:3の比とは有意に異なる分離を示し,C型系統の過剰染色体である第7染色体に座乗すると推定された。
- 日本育種学会の論文
- 1981-09-01
著者
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