麦類の突然変異育種に関する研究 : 第I報γ線照射による大麦の幼苗変異について
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概要
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六条大麦(品種コウゲソムギ)の気乾種子に30kr.のγ線を照射し,それから作ったR^1_3-R^1_4-・R^2_2_3-・R^2_3_4系統において出現した幼苗変異を観察し,次のような結果を得た。 葉緑体変異系統の中には異常た分離比を示す系統が多く,総変異系統数(164系統)の21%にも及んだ。この異常分離は染色体欠失に原因するように思われる。異常分離比系統がこのように多いことは,変異系統の発見および取扱いの上から,実際育種.丘考慮を要する点てあろう。 葉緑体変異の種類と頻度とは環境如何によって変化した。生活力が弱いと考えられるところのalbinaやxanthaは低温下では発見されにくい傾向があり,また生育時期や場所によって形質の発現の仕方が変化した。このことは変異体の発見の面から,実際育種上考慮すべき点と考^えられる。 次に2世代連続照射は変異率を倍加するので育種上有効であることがわかった。またこの場合,できるだけ変異率を高めるためには卓論性の良い株の稔性のよい穂を選択すべきでおることがわかった。 葉緑体変異のスペクトラムはX線で得られた諸結果とほとんど同じであった。 葉緑体変異以外の幼苗変異もかたり多く生じたが,これらは植物体の外観および出現状況からみて,大部分が染色体異常に起因するように、慰われた。
- 日本育種学会の論文
- 1963-12-25
著者
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