土佐湾沿岸部に流出する陸風と夜間冷気流の乱流構造
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概要
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南に土佐湾を臨む高知平野の北東から沿岸部に流出する陸風および夜間冷気流の乱流観測を1994年から1998年まで行ってきた.陸風と冷気流の流入によるまわりの大気への影響は気象要素や乱流統計量に顕著に反映される.それらの特徴として, 1)陸風は流入前の中立あるいは安定成層したまわりの大気に攪乱を起こし, その後の冷気流の貫入によって乱流状態が増幅される.そして陸風と冷気流の連結した長さは次第にその厚さを増し重力流の特徴を持つ風速分布を示す.2)地表に近い大気層では乱れの強さや運動量も増加し長時間にわたり大きな変動が持続する.つまり, 冷気流が陸風に加わって, その強さを増し維持する要因となっている.3)観測例の中には陸風フロントの前に海風の名残りとしての対抗流と早朝の陸風層に関与した下降流の存在が認められた.4)陸風流入前の大気の状態(中立または安定)に対応して陸風と冷気流による移流が上向きの顕熱輸送量の増加, あるいは下向きの顕熱輸送量の減少に寄与し, バルク式から計算した顕熱輸送量の時間変化はこの結果をよく模擬した.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2000-10-31
著者
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千葉 修
高知大学大学院総合人間科学研究科黒潮圏総合科学専攻
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千葉 修
高知大学理学部
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山本 泰久
(株)エヌ・エス環境科学コンサルタント
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千葉 修
高知大・理学部・自然環境科学科
-
山中 慎吾
(株)富士通
-
荻野 淳一
(株)信州ミサワホーム
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