配偶子致死抑制遺伝子(Igc1)およびβ-アミラーゼアイソザイムの分布から考察した東アジアへのパンコムギ伝播経路
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概要
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中国および東アジアヘのパンコムギの可能な伝播経路を解明するために配偶子致死抑制遺伝子(Igc1)とβ-アミラーゼアイソザイムを分析した。Igc1は中国東部,四川および西南日本に分布したが,中国東北,内モンゴル,新彊,チベットおよびより西側の地域には見られなかった。境界領域では,両品種が存在した。したがって,この遺伝子をもつことは東アジアのパンコムギ品種群の特徴である。また,特徴的なβ-アミラーゼアイソザイムの表現型が,新彊,中国西北,中国東部および西南日本のみに存在した。これら2形質の特徴的な分布から東アジアヘのパンコムギの伝播経路が推察できる.つまり,パンコムギは,新彊から中国西北へいわゆる「シルクロード」を通って導入された。伝播の過程で,集団が縮小し,少数の変異をもった植物が中国東部、四川省,および西南日本のパンコムギの祖先種となった。一方,中国東北,内モンゴル,およびチベットの品種はこれとは別経路で導入された。
- 日本育種学会の論文
- 1998-09-01
著者
-
辻本 壽
横浜市大木原生研
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辻本 壽
横浜市大総合理学・木原生研
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辻本 壽
横浜市立大学・木原生物学研究所
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山田 豊美
横浜市立大学木原生物学研究所
-
笹隈 哲夫
横浜市立大学木原生物学研究所
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笹隈 哲夫
横浜市立大・木原生研
-
Sasakuma Tetsuo
Division Of Evolutionary Genetics Kihara Institute For Biological Research And Graduate School Of In
-
山田 豊美
横浜市大木原生研
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