2倍体サトイモ(CoIocasia esculenta (L.) Schott)における4酵素のアイソザイムの遺伝分析
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概要
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サトイモ(Colocasia esculenta (L.) Schott)の系統進化を解明するため,アイソザイムによる分析を試みることとし,その最初の研究として,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼ,ロイシンアミノペプチダーゼおよびホスホグルコムターゼの4種の酵素について,アイソザイムの多型並びにこれを支配する遺伝子座と対立遺伝子を調査した。材料としては,交雑と種子繁殖が可能なネパール及びタイ原産の2倍体8系統とこれらを自殖または交配して得た後代系統を用いた。葉身から抽出した試料を,ポリアクリルアミトゲルを用いて電気泳動後,活性染色した.得られた酵素泳動像から,各酵素のアイソザイムについて,これを支配する遺伝子座と対立遺伝子を推定し,後代における分離を検定することによって,アロザイム,遺伝子座および対立遺伝子を同定した。その結果,4つの酵素について,複数の対立遺伝子が存在する9遺伝子座を確認した。また,これら9座が支配する酵素のうち,4座については単量体であり,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼの2つの座については,二量体であることが分かった。サトイモの栽培種の多くは3倍体であり,その起源は,2倍体の非還元分裂配偶子と正常配偶子の受精によるものとされている。後代検定による関連遺伝子の同定が可能な2倍体を材料に,さらに他の酵素のアイソザイムを調査することにより,サトイモ全般にわたる遺伝変異,遺伝的な関係や系統進化の解明に貴重な情報をもたらすことが期待される。
- 日本育種学会の論文
- 1998-09-01
著者
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