ポーラーローの北西部で発生した北東日本海上のメソ低気圧家族
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概要
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1987年1月3-4日、北東日本海上で発生したメソスケール低気圧家族の解析例を報告する。このメソスケール低気圧家族は北海道東岸で発達したポーラーロー(polar low)の北西部で発生した。ポーラーローの南西側に大陸より流入する寒気移流と北西側に太平洋域から流入する暖気移流の間の水平的differential advectionにより、局地的frontogenesisがおこり、同時にポーラーロー中心から西北西に伸ぴるシアーラインが強化された。高層観測によって〜1.5℃/100kmおよび〜15(m/sec)/100kmの気温傾度とシアーが示された。周密な地上観測によっては、20-30km幅のシアーゾーン内で5-10(m/sec)/10kmのシアーが検出された。このシアーライン上〜200kmの間隔をおいて二つのメソスケール低気圧が発生した。それらは強い低気圧性循環と明瞭な暖気核構造を有し、強い降水と〜25m/secのガストを伴っていた。強いシアー流中のメソ低気圧の発生は順圧不安定による発生を暗示するが、一方、frontogenesisにともなうメソ低気圧の発生は傾圧不安定による発達を暗示する。観測された幾つかのパラメータが線型解析で得られている順圧不安定やEady型傾圧不安定の条件を満たしているかどうかを調べた。周密な地上観測データーから見積った順圧不安定、および通常の高層観測データーから見積った傾圧不安定の最大発達率は、ともに、〜200kmの波長にあらわれるが、後者の発達率は前者のそれよりも小さかった。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1994-08-25
著者
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