日本海および北西太平洋の寒気吹出の多種スケール的様相
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概要
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1987年1月8〜10日にみられた北西太平洋上における大規模低気圧の発達にひきつづくアジア大陸からの寒気吹出の多種スケール的様相を報告する。日本列島近傍で発生した大規模低気圧は北西大平洋上で発達し閉塞過程に達し、寒気吹き出しをもたらす。寒気流内でpolar troughにともなってcomma-cloudが発生し、発達につれ二次的寒冷前線の特徴を示し、さらに主前線に接近しinstant occlusionを形成する。この時点で寒気吹出は再強化される。大陸からの寒気は閉塞低気圧の南西部に向かって西〜北西流の寒気の楔として侵入し、一方太平洋からの相対的暖気流は低気圧の北側をまわり、その北西部に東〜北東流として流入する。これらの気流系の間に著しいシアーラインが形成される。そこでは水平的differential advectionにより局地的frontogenesisが進行し、シアーラインに沿った雲ゾーンが発生した。この下層の寒気の楔の上空の500 hPa面では、長く狭い寒気トラフが現れていた。このfrontogenesisゾーンの上空の寒気の通過にともなって中規模低気圧が発生した。その最盛期には中心気圧は5 hPa深まり、25 m/sのガストをともなった。シアーラインの通過後、再度北風の寒気吹出が強まった。以上の多種スケール的様相は他の寒気吹出についても見られる。この寒気吹出の多種スケール的様相の概念モデルは、この地域の寒気吹出の実態を理解する上で有用なものである。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-12-25
著者
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