Eadyモデルにおける傾圧波の最適励起
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概要
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数値予報モデルにおける予報誤差予測の問題と関連して、最適励起擾乱の特性を線形論の範囲でEadyモデルを用いて詳しく調べた。最適励起擾乱を、その振幅がある与えられた時間(τ)で最大に発達するものとして定義する。擾乱発達の特性は、基本場の力学的安定性だけではなく、発達を評価する時間τにも依存する。線形的に不安定な領域では、最適励起擾乱は、不安定モードと同様にほぼ指数関数的に成長する。時間τが増加するに従い、その構造は不安定モードのそれに漸近する。また、対応する初期擾乱は不安定モードの随伴モードとなる。一方、時間τが小さいときには(τ≤3日)、最適励起擾乱の等位相線の傾きは不安定モードに比べより水平に近く、不安定モードは擾乱の初期の発達には関与しない。線形的に中立な領域においては、最適励起擾乱は、Cτ^2+1(Cは定数)のように代数的に成長する。対応する初期擾乱は、鉛直シアーに対し傾いた平面波の構造を持っている。その等位相線の傾きは時間τの増加に比例して水平に近づき、擾乱の鉛直スケールは逆比例して滅少する。他方、最適励起擾乱はほぼ順圧的な構造となり、その構造は位相速度の異なる、特異点を持たない2つの中立モードにより主として決定される。発達評価時間τが比較的大きい場合(τ≥2日)、最適励起擾乱の発達は、Orrのメカニズムで定量的にうまく理解できる。しかしながら、時間τが小さい場合には、特異点を持たない2つの中立モード間での干渉が、擾乱の成長に大きく寄与する。また、成長した最適励起擾乱の構造は、各モードの射影性(projectability)より説明される。これらの結果は、数値予報モデルの予報誤差予測を行うには、数値予報モデルと同程度の空間解像度を持つモデルが必要であることを示唆している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1994-08-25
著者
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