ロレンツシステムでの非周期運動における「周期的状態」
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概要
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ストレンジアトラクターの大域的構造を記述するために、3次元ロレンツシステムを用いて、非周期運動における「周期的状態」という概念を提出する。各々の周期的状態は、比較的短い周期を持つ周期解(PS)または擬周期解(PPS)の近傍を解軌道が通過する期間として定義される。ここでPPSは、ほほ周期的な運動を生ずる解として特徴づけられ、PSの極限点より分岐する。以下では、PSとPPSとをまとめて、MPP(周期性に基づく極小点)と略記する。各々の周期的状態はある一つのMPPの近傍で生じているという力学的関係が、分岐パラメータの広い範囲にわたって統計的有意性を持つことが示される。また、いくつかのMPPは優先的に選択され、非周期運動における周期的状態を生みだしている。この選択は、各MPPの線形安定性に依存しない。さらに、各周期的状態がn周期以上持続する確率は、exp(-n/τ)でうまく表現される。ここで、τは特性時間である。また、各PSの近傍で生じている周期的状態の場合、この持性時間は各PSの線形安定性より主として決定される。これらの事実は、各周期的状態とMPPとの力学的関係を傍証している。従って、非周期運動は、ストレンジアトラクターの中に存在するMPP間の遷移として捉え直すことができる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1994-10-25
著者
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