低・高周波熱帯波動の生成のための連合機構 : 第II部:理論的解釈
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概要
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低・高周波熱帯波動は、蒸発-風フィードバック(Evaporation-wind feedback, EWF)、飽和トリッガー(saturation triggering, ST)および中緯度からのトリッガー(lateral triggering)からなる連合機構(united mechanisms)により生成されると見なされる。EWFメカニズムは、ある種の波が蒸発-風フィードバックによって不安定になる。STメカニズムは、別の種類の波が飽和とともに湿潤対流の断続的開始によりトリッガーされ、すでに存在していた条件付き不安定成層を中立化させる。これらのメカニズムは、理論的には湿潤対流調節によって診断的(diagnostic)および予測的(prognostic)調節という二つの一貫した過程として説明される。この二つの過程は、対流平衡をそれぞれ再生および維持し、STおよびEWFメカニズムに決定的なものである。一体化された理論へのステップとしてEWF不安定を理論的ケルビン波モデルを用いることによって調べる。このモデルは線形摂動方程式において予測調節過程のみを組み込み、これによってSTメカニズムを除外する。この解は波動不安定がEWFメカニズムの結果であることを示し、波動-CISKメカニズムではないことを示す。調節パラメーターをもっともらしく選ぶと一つの強い不安定モードが観測上の40-50日振動に対応し、二つの弱い不安定モードが25-30日および10-20日振動に対応する。これらの結果を、元々の湿潤対流調節スキームを組み込んだ非線形モデルを用いて、第I部で扱っている数値実験からの結果と比較した。推測されることは、40-50日および25-30日モードはそれぞれ線形および非線形EWFメカニズムを通して強く発達しうるのに対し、10-20日モードはSTメカニズムを通して強く増幅しうることである。
- 1997-08-25
著者
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