TOGA-COARE集中観測期間中のパプアニューギニア、マヌス島における雲群の構造に関するドップラーレーダー観測 : 2台のドップラーレーダーによる雲群を構成するメソ対流系の解析
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概要
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1993年1月18-19日に観測されたクラウドクラスターと、それを構成する3つの特徴的なメソ対流系を2台のドップラーレーダーデータを用いて解析した。2台のレーダーは、TOGA-COARE集中観測期間中にマヌス島(南緯2°、東経147゜)に設置したものである。解析したクラウドクラスターは、レーダー観測範囲内で発生し直径約200kmにまで発達した。この時の環境の風は弱かったが、高度3〜4kmに強い鉛直シアーが存在した。このクラウドクラスターは幾つかのメソ対流系によって構成されており、クラスターの成長期には対流性エコーが、衰退期には層状性エコーが卓越していた。最初の特徴的なメソ対流系(FMCS)は環境の風より速い速度で伝播し、その走向は鉛直シアーの方向にほほ直交していた。また、強い対流セルの後方には層状性エコーが広がっていた。FMCSに流入する流れは強い下降流を伴うセルの前で2本に分かれ、その下降流から南と北方向に発散する下層の流れとの間に対称性を持つ2つの強い収束域を形成した。これらの特徴から、FMCSは'storm splitting'が作り出すような3次元気流構造を持つスコールラインとして認識された。2番目のメソ対流系(SMCS)は、ゆっくりとした移動速度を持つ独立した対流セルで構成され、系全体の走向は鉛直シアーに平行であった。3番目のシステムは、明瞭なブライトバンドを伴う層状性エコーであったが、その中層(高度4〜6km)には直径約20kmの水平渦が見つかった。さらに、中層と上層(高度6km以上)には5ms^<-1>に達するような鉛直速度を持つ鉛直循環が見つかり、これらによって多量の降水が生成されたことが分かった。
- 1995-06-15
著者
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