Trandolapril (RU44570)のイヌにおける13週間反復経口投与毒性試験および4週間回復試験

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RU44570の2.5, 25および250mg/kg/dayをビーグル犬に13週間連続経口投与し, その亜急性毒性ならびに25および250mg/kg/day投与群の回復性について検討し, 以下の結果を得た。1. 250mg/kg投与群の雄1例が, 摂餌量および体重の減少, 口内炎, 吐血, 横臥, 体温低下, 被刺激反応消失等の重篤な症状を呈したため, 投与第39日に切迫剖検した。生存例では, 投与期間中に, 25mg/kg以上の投与群の数例に一時的な体重減少ならびに250mg/kg投与群の数例に摂餌量の減少が散見されたが, 一般状態および飲水量には異常は認められなかった。2. RU44570の薬理作用として, 2.5mg/kg以上の投与群に血中アンジオテンシン変換酵素活性の低下, 血中レニン活性の上昇, 尿量の増加と尿比重, 尿中Na, KおよびCl濃度の減少, 更に25mg/kg以上の投与群では血圧の低下と糸球体傍細胞の細胞質内にPASおよびBowie染色陽性顆粒の増加が認められた。その他, 25mg/kg以上の投与群に糸球体輸入細動脈壁の肥厚, 尿細管上皮細胞の細胞質の好塩基性および尿細管の萎縮と肥大, 250mg/kg投与群にBUN, ALPおよびクレアチニンの上昇と軽度な尿細管腔の拡張が認められ, RU44570の25mg/kg以上の投与では腎臓への器質的影響が, 250mg/kg投与では機能的影響が推測された。また, 切迫剖検例では, 生存例にみられた腎臓の変化に加えて中等度の尿細管腔の拡張および尿細管上皮細胞の空胞化を主とするネフローゼ, 口内炎, 胃底腺部に好中球浸潤を伴う顕著な出血と壊死, 造血器系組織の萎縮, 心臓, 腎臓, 胃および気管から肺胞壁にいたる異所性石灰沈着等の変化が認められ, 腎臓障害とそれに伴う尿毒症により瀕死状態に陥ったと推定された。3. 他方, 25mg/kg以上の投与群にRBC, HtおよびHbの減少がみられ, 同群の組織学的検査では肝臓にヘモジデリン貪食クッパー細胞の増加および赤脾髄にヘモジデリン沈着の増加が確認されたことから, 25mg/kg以上の投与群で溶血性の貧血が推測された。しかし, 骨髄像には変化は認められず, 脾臓における髄外造血増加等の代償性変化もみられなかった。4. 回復試験では, 250mg/kg投与群の雌1例にRBC, HtおよびHbの低値, 他の雌1例に血圧の低値が認められたほか, 25mg/kg以上の投与群で糸球体傍細胞の顆粒の増加および輸入細動脈壁の肥厚がみられたが, いずれも反復投与試験と比べて軽度であった。また, 投与期間中に認められたその他の変化についてはいずれも消失した。以上の結果から, RU44570のビーグル犬における13週間反復経口投与による無影響量は2.5mg/kgと考えられ, 25mg/kg以上の投与では赤血球系および腎臓に対する影響が認められたが, 4週間の休薬によりほぼ回復し, その変化は可逆的であった。
日本トキシコロジー学会の論文
1993-04-16

Trandolapril (RU44570)のイヌにおける13週間反復経口投与毒性試験および4週間回復試験

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