セルリーの栽植距離に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
セルリーの栽培は長野県における夏秋どり高冷地栽培を除けば,従来のハウス春どり栽培からハウ ス冬どり栽培へと作期の前進が漸次行われると考えられる。しかも,半促成の果菜類,すなわちトマ ト,キュウリ,スイカなどの前作に輪作々物の1つとして,またセルリー自体の抽苔による不安定な 作型(ハウス春どり栽培)を回避する意味からも,今後非常に希望が持てる作型と推測される。さら に需要の面からも,欧風化の食生活が浸透するに従って,消費が急速に延びており,今後ハウス冬ど り栽培が栽培の中心になるものと考えられる。 本研究はキュウリ及びメロンの半促成栽培と抑制栽培とを組合わせた,輪作体系の一貫として,大 型ハウス内において,セルリーの冬どり栽培を行い,栽培試験の基本である栽植密度について試験を 行ったものである。 大型ハウス内の長さ23m,幅lmの畝を3列供試して,それぞれの列を栽植距離20cm,25cm,30cm の2条植えとした。 その結果,総収量は20cm区と25cm区では大差なく約120kgで,30cm区の約95㎏と約25㎏の差が認め られた。 しかし,総収量が多い20cm区と25cm区を比較すると,20cm区は1.Okg未満と1.0~1.5kg未満の重量 の株がほとんどで,その占める比は1:1であったのに対し,25cm区では1.0~1.5kg未満が全体の約 2/3を占め1.Okg未満より1.5㎏以上の方が多かった。25c皿区と同じ傾向を示した30c皿区では,栽植 本数が25㎝区の92株に比べ75株と15株少なく,そのために総収量が25cm区より約25kg減少した。 一般に栽植密度が低いと1株としては大株になるが,全体の収量が上がらないことが良く知られて いる。しかし冬どり栽培は他の作型に比べて生育期間が長いことから,2.Okg前後の大株に容易にな ると言われている。また,1株の重量は肥培管理や潅水管理等にも影響されると推測される。本試験 においては,1株重は25cm区において1.0~1.5㎏未満のものが最も多いことから,今後はこれを1.5 kg以上の1株重に高める栽培方法を案出することが緊急の課題と考える。
- 九州大学の論文
著者
関連論文
- シクラメンの栽培品種におけるAAT、GPIおよびPGMアイソザイムの変異
- セルリーの生育とハウスの照度について
- セルリーの栽植距離に関する研究
- 白いぼキュウリの市場出荷と価格の変動について
- 摘果によるニホンスモモ種子の育成促進