白いぼキュウリの市場出荷と価格の変動について
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概要
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第2次世界大戦後,わが国の食生活が洋風化し,野菜をサラードで食べる食習慣が定着した。その ためキュウリも周年栽培されるようになり,食生活の上で欠くことのできない存在となった。 第2次世界大戦が終了してから昭和40年代までは,西南暖地を中心に華南型黒いぼキュウリが暖か い立地条件を生かして組織的に生産され,関東,関西などの大都市に遠距離輸送された。昭和50年代 になると関東地方の都市近郊の園芸地帯から華北型の白いぼキュウリが本格的に出荷されるに及んで, 白いぼキュウリの新鮮な見掛けと歯切れの良い肉質が都市生活者に歓迎されるようになった。その後, 白いぼキュウリの栽培は黒いぼキュウリの主産地である西南暖地にも普及し,広く全国的に栽培され るようになった。 本試験は白いぼキュウリの品種比較試験の1部として行ったもので,市場価格と当農場産キュウリ の市場価格の変動を比較したものである。その結果 (1)白いぼキュウリの価格は5月よりも6月が高く推移した。これは促成栽培のキュウリが老朽化 し,梅雨期の寡日照の影響を強く受けて,生産力を著しく低下したために,市場価格が高くなったと 推測される。 (2)当農場で生産した白いぼキュウリ,シャープ1のL,M,Sの階級の価格は市場の中値に近い 価格で落札された。今後の問題とレて,品質の優れたキュウリを生産し,全体の収穫量を高めること が必要である。そのためには,出荷の期間を5月,6月の2ヶ月間から,無暖房栽培におけるぎりぎ りの作期の前進,すなわち出荷開始を4月のより早い時期にまで進め,さらに収穫の終わりを7月に まで延長し,総収穫量が一層高まる工夫が必要である。 〈3)白いぼキュウリの如く,果皮が薄く耐病性の点で問題のあるものでは,病害虫の適期防除なら びに適確な生育診断に基づく,肥培管理と潅水管理がぜひ必要となる。それに加えて,主枝の摘心及 び側枝の整理による樹勢の維持が収穫量の大幅な増加に結び付くものと考える。
- 九州大学の論文
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