水稲およびソルガムの出穂に及ぼす水ストレスの影響
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概要
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花芽形成から開花まで, すなわち生殖生長期は水ストレスに対して感受性が高いと考えられている.オオムギ, コムギ, ソルガム, イネで穀実収量は生殖生長期の水ストレスによって低下すると報告されている.これらの報告によると, 水ストレスは穂数, 1穂あたり粒数, 1粒重の量的な形質を変動させて収量に影響を与える.水ストレスは量的な形質ばかりでなく, 出穂日および開花日を移動すると経験的に知られている.しかし, 出穂日および開花日の移動が収量に及ぼす影響は明らかでない.さらに, 水ストレスによる出穂日および開花日の移動についての実験はわずかである.そして実験によってソルガムおよびコムギの開花が生殖生長期の水ストレスによって水ストレスの期間だけ遅延されること, コムギの開花は軽度の水ストレスによって促進されることが明らかになった。植物の体内水分状態は土壌-植物-大気の連続した系の水の流れの中で決まるため, 土壌の水分状態が等しくても体内水分状態は同じでないことがある.さらに, 植物の生理は体内水分状態に反応する.したがって, 水ストレスによる出穂日および開花日の移動は体内水分状態と関連していると考えられる.コムギで開花の促進ならびに遅延は体内水分状態との関連で論ぜられた.しかし, 他の作物で調べられていない.岡と盧はイネで出穂の遅延は花芽形成の遅延によって生じるとしている.そして生殖生長期の水ストレスが出穂に及ぼす影響は明らかでない.これは生殖生長期の水ストレスに対するイネの出穂反応はコムギおよびソルガムと異なる可能性を示唆する.イネおよびソルガムは夏作物, そしてコムギは冬作物であるので, イネとソルガムを比較することとした.本実験は生殖生長期, その中で幼穂で原基が分化している初期に水ストレスが出穂に及ぼす影響を明らかにするために行なった.さらに, イネはソルガムと出穂反応が異なると考えられるため, 両作物を比較した.
- 日本作物学会の論文
- 1984-05-30
著者
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