気象影響による異常登熟現象の生態的考察 : 昭和45年産水稲の異常作況について
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概要
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昭和45年産水稲の異常豊熟の原因をホウヨク・農林18号・トヨタマ・レイホウを素材として,乾物生産の面から検討した。多肥栽培を行なったトヨタマとレイホウは,登熟期間葉身窒素濃度が比較的高く推移しているが,これは普通年では登熟に正に作用するものであるが,本年のように豊熟期間高温少照に経過すると呼吸量が増大して同化生産物の消耗をきたし,登熟後期にはNARの著しい低下となって現われ後期の乾物生産,すなわち,子実生産が緩慢となり著しい登熟低下となっている。標肥栽培のホウヨクは登熟期問の葉身窒素濃度が多肥栽培品種より低くて呼吸による消耗が少なくなり,登熟後期までNARが維持され登熟の低下は軽微にとどまっている。少肥栽培の農林18号は呼吸による消耗が少なくて同化生産と平衡を保ち,きわめて順調な豊熟経過をたどり豊熟の低下は全く認められない。要するに,本年産水稲の異常登熟は登熟期間の高温と日照不足に基づく同化生産と呼吸による消耗の不均衡によるものであり,多肥密植栽培ほどその程度は著しい。
- 日本作物学会の論文
- 1971-06-30
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