灌漑水の深さが水稲の形態,生態に及ぼす影響(予報)
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概要
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水稲の栽培には,水を灌漑・湛水することが常識となっているが,これは化学的追求によって確立した技術ではなく,伝統的な慣習によるものである。水稲は水辺の作物であって,水中の作物ではないという立場からは,高橋昇博士の論じた処である。この成果は畦立栽培法という体系的な技術の確立をみたのであるが,一蝉農家では種々の事情から湛水栽培が多い。福岡県の遠賀川流域では石炭鉱採掘被害として,農地の沈下,陥落や,微粉炭泥土,硬(ボタ)の流入によって起る川床の堆土等の条件がおりかさなって,水田の排水が悪く全期間中湛水で栽培せざるを得ない処が多い。このように深水の状態で栽培された場合の水稲収量は極度に減収するというものと,ほとんど被害を認めないという論が,石炭鉱害補償と関係ずけられて未解決のまま放任されて来た感がある。筆者らはこれとは別の立場から筑豊地帯の水稲の反収停滞条件解明を前提として,常時湛水の水深が,水稲の地上部の形態,生態に如何なる影響があるかについて,昭和34年,35年の2ケ年試験を実施したのでその成績の一部を報告する。
- 日本作物学会の論文
- 1961-10-25
著者
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