土壌酸性中和剤としての石灰岩粗粒子が水稲の生育収量構成要素に及ぼす影響(第3報)
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概要
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近年化学肥料の増施に伴う土壌の酸性化が減収の一因をなすという観点からは,無硫酸榎肥料がすすめられ,灌概水の汚物混入による対策としては,水質汚濁防止法が公布されて,夫々水域指定の具体的段階に至っていると福岡県の遠賀川流域は,石炭採掘に伴うボタ山が各所にうず高く形成されたものが存在し,坑内排水は汚濁源として遠賀川支流の各水系に放流されている。これらの処を経てくる灌概用水は,農耕土壌に悪影饗を及ぼすととが考えられる。筑豊地溝の耕土は,土壌調査成績からみても酸性化が目立っている。このような土壌条件を改善して生産の回復を計るには,石灰質資猪の施用が常識となっている。筑豊に存在する強酸性の土壌に酸性中和を主目的として一時に必要量多用すると,土壌の反応上で好ましくない。さらに最近問題になっている構物必須の微量成分の溶脱などと関連するためか,水稲の生育障害が認められる。これは石灰の質的なものと共に時間と量との不備がその原因であると考えられる。これまでの速効性・強アルカリ性石灰の多用をさけて,緩効性の石灰岩粗粒字をもって代えることが,第一報・第二報で畑作物では適当であることを報告した。ここでは従前海底であり,多くの硫酸塩の含有される貝殻なども含む強酸性の土壌で造日ヨされ約300ha水稲が枯死して問題となった処のものを供試土壌として水稲に対する効果を1957年〜ユ960年にわたって検討したので,その成績の一部を報告する。
- 日本作物学会の論文
- 1961-10-25
著者
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