熱帯水稲二期作地域における非作付け期の灌排水が生育収量に及ぼす影響

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IRRIの水稲栽培試験において,非作付け期の土壌排水によって,その後の栽培期間中の生育が抑制された.本報告ではこの抑制について,そのメカニズムの解明と制御技術について検討した.生育抑制のメカニズムについては,1)この生育抑制は,雨期作,乾期作のいずれでも起こった.リン酸の多量施肥区では生育抑制が観察されず,また生育抑制区から採取した水稲中のリン濃度が低かったことから,この生育抑制はリン欠乏が一因となっていると推察される.2)生育抑制は,高い土壌pHと関係しており,さらにこの高いpHは,土壌の低い二価鉄量によって引き起こされる場合が多かった.すなわち,非作付け期の土壌乾燥により作付け期間中の二価鉄が減少し,これと負の相関があるpHが上昇したと考えられる.生育抑制の制御は,1)施肥によって改善されたが,これはリンの影響によると考えられる.2)また,非作付け期の土壌灌水によっても改善されたが,これは特に初期生育中の土壌pHが低下するためと考えられる.3)さらに稲わら施用によっても改善効果があり,これは,稲わらの分解によって生成した二酸化炭素が土壌pHを低下させたためと推察される.4)上記の要因について,生育抑制の制御の効果は,施肥>非作付け期の土壌濯水>稲わら施用の順であった.
2004-04-05

熱帯水稲二期作地域における非作付け期の灌排水が生育収量に及ぼす影響

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