水田土壌の湛水培養による上澄液ケイ酸

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水田土壌の有効態ケイ酸測定法として、土壌を湛水培養して得られる上澄液中のケイ酸濃度を測定する方法を検討した。溶液中のケイ酸をmolybdenum blueによる吸光光度法で測定する場合、今泉・吉田が用いたA法では二価鉄の共存によって、また、奥田・高橋の用いたB法では二価鉄とリン酸の共存によってケイ酸の過大評価につながった。そこで、前処理としてカチオン交換樹脂による供試液中の二価鉄の除去法を考案した。すなわち、供試液20mlに対してアンバーライトIR-120を1g添加し、ときどき振とうしながら交換反応時間30分程度でケイ酸の発色には影響がなくなった。土壌を湛水培養して上澄液を得るための培養条件を検討した結果、土壌と水との比は1/4で、30℃、4週間の培養が適当であった。各種の水田土壌を湛水培養して得られた上澄液中のケイ酸をA法およびB法で測定した結果、前者では二価鉄の除去が必須であったが、後者では、上澄液中のリン酸濃度が低い場合、二価鉄の除去をしないままでもケイ酸の定量分析にはほとんど影響がなかった。ここに提案した水田土壌のケイ酸測定法では、ケイ酸石灰が施用された土壌におけるケイ酸の評価が、従来のpH4酢酸法のように過大になることはなかった。一方、ケイ酸供給源になりうると考えられる有機物の施用された土壌におけるケイ酸が、湛水静置法、土壌溶液法およびpH4酢酸法よりも高く評価された。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1988-12-05

水田土壌の湛水培養による上澄液ケイ酸

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