水稲倒伏軽減剤入り肥料の成分の挙動
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概要
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倒伏軽減剤入り肥料(SDF-21)の安定した効果を得るためには肥料と薬剤の挙動を支配している要因を明らかにすることが必要である.そこでその主要成分であるアンモニア態窒素(NH_4^+-N)とウニコナゾールPの水田における挙動について両者を比較した.1)肥料成分は速やかに溶出するのに対して,ウニコナゾールPはほとんどが土壌に吸着された.そのため水田土壌に表層施用されたSDF-21のNH_4^+-Nは,深さ5 cm部位にまで移動するが,ウニコナゾールPは深さ2cmまでの表層にとどまった.また,田面水を介して移動するウニコナゾールPは量的に少ないので,ウニコナゾールPによる短稈効果は施用箇所だけで現われた.さらにウニコナゾールP濃度は田面水中よりも土壌表層の土壌溶液中で高かった.このようにウニコナゾールPは水田土壌中で移動しにくいので,SDF-21の施用に際しては著しいむらのないように均一に施用することが望ましい.2)含水比が低い土壌にSDF-21を施用すると,肥料による葉色の発現はあってもウニコナゾールPの短稈効果はほとんど認められない場合があった.これは肥料とウニコナゾールPの移動性の差に起因すると考えられた.したがって,ウニコナゾールPの移動性が著しく低くならないように,SDF-21の施用時には湛水することが必要である.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1994-04-05
著者
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