フライアッシュの肥料への利用の基礎研究

概要

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1)フライアッシュ(FA)は大部分が1〜50μm程度の球状の微粒子で,ガラス質以外に少量のムライト,石英などの結晶質を含む。2)FAにリン酸を加えると,主としてFA中のCaOが反応し,CaOの多いFAでは発熱が多く,リン酸一カルシウムを生じ,乾燥固化する。FAはリン酸一アンモニウム溶液とも反応するが,反応性は低い。3)FA中のCaOは3〜8%程度であり,一般の鉱さいではCaOがこの程度ではほとんど反応性がないが,FA中のCaOは反応性に富む。これはCaOがFAのガラス質中に均一に入っているのでなく,FA粒子の表面や粒子間に多く分布しているためであろう。4)マンガン,銅,亜鉛,ニッケルなどの重金属はFA中に50〜400mg/kg程度含まれ,0.5M塩酸による溶出率は,銅と亜鉛では10〜25%程度,ニッケルは5〜15%程度であるが,鉄とマンガンでは溶解性の高いFAと低いFAとがあり,分布状態が不均一であることを示している。pH4.5のクエン酸アンモニウム液による溶出率は3〜15%程度である。有害性の強い水銀とカドミウムの含有量は1mg/kg以下である。したがって,FAはとくに多量に用いるのでなければ重金属過剰のおそれはなく,適量の施用により微量要素としての効果が期待できる場合もあるであろう。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1986-08-05