イオン交換体組成を異にする3種の土壌による添加された酸の中和機構と中和速度

概要

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1)土壌による酸の中和機構とその速度を調べるため,主要イオン交換体としてスメクタイト,アルミニウム-腐植複合体,またはアロフェン・イモゴライトを含む土壌試料5gに約6mMの塩酸40.5mlを添加して反応溶液および交換対の陽イオン組成の変化を0〜250時間の範囲で調べた。2)酸の中和はどの土壌試料でも反応開始後1時間以内に完了したが,スメクタイト質土壌では主要な中和機構は水素イオンと交換性塩基の陽イオン交換反応であった。吸着された水素イオンによる粘土の破壊はこの実験期間ではみられなかった。3)アルミニウム-腐食複合体を主とする土壌試料では添加された酸の約30%は無機水酸基への水素イオンの取り込み(酸吸着)により,残りは陽イオン交換反応と鉱物の溶解により中和された。4)アロフェン・イモゴライト質の土壌試料では添加された酸の約80%は酸吸着により,残りが陽イオン交換反応と鉱物の溶解により中和された。5)この実験では反応初期には土壌けんだく液を連続的に振とうしたがそれでも酸のほぼ全量が中和されるには約1時間を要した。これはカラムを用いたモデル実験の結果を解釈するときなどには無視できないと考えられる。
1991-10-05