土壌溶液希釈過程におけるAR^Kの不変性の理論的解析

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AR^K すなわち土壌溶液中のカリウムイオンの活量とカルシウムイオンとマグネシウムイオンの活量の和の平方根の比 a_K/√<a_<Ca>+a_<Mg>> は土壌溶液が希釈されてもほぼ一定値をとることが報告されている.このことは,水分含量変化にともなうカリウム,カルシウム,およびマグネシウムイオン濃度の変化を推定することに役に立つ.しかし,どのような性質の土壌でどの程度に一定となるのかについてはくわしく調べられていない.そこでまず,イオン交換平衡が乱されないように土壌溶液を希釈,濃縮するとき AR^K が厳密に一定であるための条件を理論的に求めると次の2点に帰着した.1) K-Ca, K-Mg の選択係数が交換体のイオン組成のみに依存する.2) Ca, Mg が選択性の面で全く同等にふるまう.既往のイオン交換平衡に関する実験データからこれらのことは厳密にはみたされないが,交換平衡が乱されない場合には水分含量が1桁変化しても AR^K の値の変化は 10% 以下と考えられた.次に,陽イオン交換容量 (CEC) が一定で土壌溶液中の陽イオンが K^+ と Ca^<2+> のみであり,陰イオンはすべて1価イオンであるという仮定のもとに,土壌に水を添加していった場合の AR^K の変化を数値計算し,土壌の CEC の大きさなどがその変化の程度に及ぼす影響を調べた.その結果,土壌のカリウム含量,カリウムイオン選択性,土壌溶液イオン濃度および CEC のなかでは CEC の影響が最も大きかった.たとえば CEC=30 meq/100 g の土壌では交換性カリウム含量などが現実に起こりうる範囲でどのような値をとっても,水分含量が 50% から 2000% まで変化したときの pAR^K の変化は 0.1 以下であった.一方 CEC=3 meq/100 g の場合には同じ条件下で変化量が 0.4 に達した.
一般社団法人日本土壌肥料学会の論文
1992-02-05

土壌溶液希釈過程におけるAR^Kの不変性の理論的解析

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