キュリーポイントパイロリシスガスクロマトグラフィー質量分析計による施肥歴を異にする土壌における土壌腐植酸の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
10種の施肥来歴の異なる土壌腐植酸についてキュリーポイントパイロリシスガスクロマトグラフィー質量分析法 (Py-GC/MS) を適応した.以下に示す結果が得られた.1) 各種土壌群の腐植酸のパイログラムは多数の熱分解産物ピークを示したが,尺度土壌群の腐植酸の熱分解産物はベンゼン,トルエン,クレゾール,テトラメチルフェノール,および未同定の3種の物質を多量生成した.能勢土壌群の腐植酸の熱分解産物ではこれらの分解産物のほか酢酸を多量生成した.2) 各種土壌処理区の腐植酸のクラスター分析法によるデンドログラムは富蔵土壌群腐植酸グループと他の土壌群腐植酸に2分別された.能勢土壌の無窒素処理区と化学肥料処理区 (尺度土壌と能勢土壌) の腐植酸が同じグループに分別された.3) 各種土壌処理区の腐植酸のパイログラムから算出された主成分分析法による結果は,各種土壌処理区の腐植酸における,主成分の寄与率を明確にした.第1主成分から第3主成分までの累積寄与率は 89.84% を示した.富蔵土壌群と他の土壌群の腐植酸を区別する情報は主として第1主成分に存在し,能勢土壌群の有機物処理区と総合改善処理区の腐植酸を区別する情報は主として第2主成分に存在し,また,ホテイアオイ区の腐植酸を区別する情報も第2主成分に存在した.能勢土壌群の無窒素区と化学肥料処理区の腐植酸を区別する情報は主として第3主成分に存在することを示した.4) 各種土壌処理区の腐植酸のパイログラムから算出された因子分析の結果は熱分解産物のベンゼン,メトキシフェノール,フルフラール,2種類の未同定物質などが土壌腐植酸の質的変動を大きく現わす指標となる可能性を示唆した.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1992-04-05
著者
-
田中 龍太郎
通産省大阪工業技術試験所
-
田中 龍太郎
有機能材料部
-
寒川 喜三郎
大阪府立大学農学部
-
駒井 豊
福井工業大学
-
井上 豊
大阪府立大学農学部
-
辰巳 真
大阪府農林技術センター
-
駒井 豊
大阪府立大学農学部:(現) 福井工業大学
関連論文
- リボフラビン分泌から推定したホウレンソウの鉄欠乏および鉄欠乏を誘発するマンガン過剰のクリティカルレベル
- 20-14 土壌中におけるグリコールウリルの分解(20.肥料・施肥法)
- 4 キュリーポイントパイロリシスGC/MSによる底質の分析(関西支部講演要旨)
- 13 Py-GC/MSによる土壌有機物の解析(5)(関西支部講演要旨)
- 10-65 キュリーポイントパイロリシスGC/MSによる15Nアミノ酸の分析(10.植物の無機栄養・代謝)
- 2 Py-GC/MSによる土壌有機物の解析(4)(関西支部講演会要旨)
- 1 Py-GC/MSによる土壌有機物の解析(3)(関西支部講演会要旨)
- 2-12 キュリーポイントパイロリシスGC/MSによる堆厩肥連用土壌の解析(2)(2.土壌有機および無機成分)
- キュリーポイントパイロリシスガスクロマトグラフィー質量分析計によるホイル温度の差異が土壌有機物分析におよぼす影響
- 4 Py-GC/MSによる土壌有機物の解析(2)(関西支部講演会要旨)