耕地土壌の全セレンと可溶性セレンについて

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京都府亀岡盆地の耕地土壌を対象に,土壌における全Se濃度と水,熱水および熱Na_2SO_4溶液可溶性のSe濃度とそれらの分布を調査した.1)耕地土壌の全Se濃度の平均値は作土層で0.29 ppm,下層土で0.32 ppmであった.平均濃度は下層でわずかに高い傾向が認められたが,他の元素の土壌内での移動性と比較すると,Seの作土層から下層土への移動はほとんどないものと推定した.また,土壌の全Se濃度と地形・地質の間には明瞭な関連性は認められなかった.2)土壌を粒径別に分画すると分画操作中にSeの大部分が溶出し,各画分中のSe濃度は岩石のSe濃度に近い0.0n ppm のオーダーを示した.すなわち,土壌Se大部分は難溶生の鉱物中に含まれず,比較的可溶の形態で存在すると推察された.3)土壌の可溶性Seの平均濃度は,水溶性で8.9 ppm,熱水可溶生で20.4 ppbを示した.両可溶性Se濃度間に相関が成立し,また可溶性Seと全Se間にも有意の相関が成立した.水溶性と熱水可溶性のSeには質的差異はなく,加熱による溶解量の増加のみが認められるものと判断した.さらに熱0.1 M Na_2SO_4可溶性Seは熱水可溶性に比べてわずかに高値を示すが,両者間には相関が成立し,可溶性Seとして硫酸イオンとイオン交換可能な無機Seの寄与の少ないことが示唆された.また,水溶性に比べて熱水可溶性で増加するSeとアミノ酸の濃度間には相関がみられ,可溶性Seの形態としてセレノアミノ酸の存在が推測された.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1990-08-05

耕地土壌の全セレンと可溶性セレンについて

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