肥料要素の欠乏と水田雑草の発生消長
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概要
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1 26年間三要素試験を実施している水田に発生する雑草の発生消長について, 昭和26〜27年に調査を行った。2 発生する雑草は7科10種で, 種類は少ないが強雑草に属するものが多く, また各試験区に共通して発生する雑草と, 偏して発生するものがみられ, これらはホタルイ, アゼナ, ヒデリコ, スブタ, ヤナギスブタであった。3 草種別にみて発生量の多い区は, コナギ=無窒素, 無燐酸。キカシグサ, ミゾハコベ=無加里, 三要素。アゼナ=無窒素, 無加里。ヒデリコ=無燐酸。タマガヤツリ=無窒素, 無肥料, 無肥石灰。スブタ, ヤナギスブタ=無燐酸で, マツバイは発生量の差が少なかった。4 試験区別には, 三要素, 無加里, 無窒素, 無燐酸に多く, 無肥料の場合は少なかった。無燐酸は株数では少ないが, 重量では多く, 重量に関係する雑草が多いが, 8月以降にその傾向が高くなった。5 雑草量は発芽〜出穂期までは, 被度の増加に伴い著しく増加し, 雑草間の競合による優先草種が交替する場合もあるが, 出穂期以降は, 雑草量の増加と, 草種の変動はわずかであった。6 スズメノテッポウは無加里, 無燐酸の場合, 越冬中の障害が多く株数は著しく少なかった。7 雑草の化学分析結果は, 窒素, 燐酸ともに無燐酸, 無肥料が少なく, 雑草に吸収される窒素, 燐酸は硫安, 過石にしてa当0.5〜1.8kgとなり, 無除草の場合の雑草による肥料要素の収奪は意外に多かった。8 潅漑水による加里および石灰の天然供給量が多いため, 無加里は加里欠乏の影響がみられず, 稲の収量も三要素と同じで, また雑草の発生状態も同様であった。9 肥料要素の欠乏と雑草の関係は大きく, 無肥料, 無燐酸等土壌条件の不良の場合は, ホタルイ, タマガヤツリ等カヤツリグサ科の概して硬質で, 2.4-Dに比較的強い雑草が無加里, 三要素等土壌条件の良好とみられる場合はミゾハコベ, キカシグサなど軟質の雑草が多く, とくに無燐酸ではドチカガミ科のスブタ類がみられ, 発生する雑草により, 土壌の肥瘠状態の判定が可能の如く考えられた。
- 日本作物学会の論文
- 1965-03-15
著者
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