巨大胚水稲品種はいみのりにおける田植機適応性のある苗の育苗法(品種・遺伝資源)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
巨大胚水稲品種はいみのりにおける田植機適応性のある苗の育苗方法の開発を目標として,出芽・苗立ち不良要因を解析し,出芽・苗立ち,苗丈,苗マット形成の向上方法を検討した.はいみのりは発芽率は96.7%であったが,出芽率は69.2%,苗立率は33.0%と低い場合が見られ,発芽後の生長が悪い場合があることが示された.その原因の一つとして,はいみのりは奇形発生率が50.2%と高いことがあげられた.また,はいみのりは種子から溶出する全糖量が多いことも一因と考えられた.一方,はいみのりの出芽率・苗立率は手脱穀種子も機械脱穀種子と同様に低く,脱穀時の衝撃は出芽・苗立ち不良の原因ではないと考えられた.はいみのりの出芽率・苗立率は浸種温度,緑化温度,収穫時期,育苗資材,播種量を変えても改善出来なかった.苗丈はもみがら成型マットを用いると平均11.9cmになり,育苗培土の平均10.3cmより長くなった.もみがら成型マットを用いた苗マットの引張強度は0.46N(ニュートン)で育苗培土での0.23Nの2倍強くなり,苗取り板が不要とされる値と同程度になった.また,播種量を270g/箱とすることで,一般品種の中苗程度の苗立数が得られた.以上,はいみのりの低出芽率,低苗立率は発芽後に問題があること,その原因は高い奇形発生率と種子から溶出する全糖量の多さによる可能性があることが明らかになった.さらに,もみがら成型マットを使用し,270g/箱播種することにより田植機適応性のある苗が得られた.
- 日本作物学会の論文
- 2002-03-05
著者
関連論文
- タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布(品質・加工)
- 72 高温条件下で登熟した水稲品種の白未熟粒の発生程度における品種間差異(品質,日本作物学会第225回講演会)
- 71 水稲品種コシヒカリと初星における穂上位置による粒重増加の差異と高温の影響(品質,日本作物学会第225回講演会)
- 69 飼料イネ種籾の越冬後の発芽能力に及ぼす土壌埋設時期の影響(光合成・呼吸・物質生産/代謝・分配/発芽・発育,日本作物学会第225回講演会)
- 飼料イネ種籾の休眠程度と越冬後の発生能力に関する品種間差異(日本作物学会中国支部講演会)
- 莢伸長始期〜粒肥大始期の土壌乾燥がダイズの莢先熟と成熟期の生育に及ぼす影響(一般講演,講演要旨,日本作物学会中国支部会講演会)
- 飼料イネ種籾の土壌埋設処理が越冬後の発芽能力に及ぼす影響(一般講演,講演要旨,日本作物学会中国支部会講演会)
- 植被率と葉面積指数および稲体窒素含有量との関係における品種間差(一般講演,講演要旨,日本作物学会中国支部会講演会)
- 57 栽植密度,移植時期および窒素追肥時期が蛋白質変異水稲品種の可消化性蛋白質含有量と収量に及ぼす影響(分配・蓄積)
- P-29 摘莢によるダイズの莢先熟発生条件下における葉の硝酸還元活性の変動