タバコ苗の苗令と発育反応 : 第6報タバコ苗の苗令の進行にともなう日長感応度の変化と, 開花時の形態的差異について

概要

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夏期 (8〜9月) の高温・長日条件下で育成した黄色種Bright Yellowの9枚苗を用い, 苗令の進行にともなう日長感応度の推移および開花時の形態的差異について調べた. 日長処理は終始8時間, 10時間, 12時間および14時間日長下におくもの, 12時間日長から8時間日長下に10日おきに移すもの, および20日. 40日後に12時間日長から10時間および14時間日長下に移すものの13の日長処理区を設けた. これらの日長処理は, 日長反応が最も顕著に現れる18℃恒温条件下で行なつた. 1) 発蕾期までは, 草丈の伸長および出葉速度は各日長処理区間にほとんど差がなかつた. 発蕾が近づくと, 草丈の伸長が著しく, 出葉速度も早くなつた. 2) より短い日長下に生育したものほど, また苗令の若い時から短日下に生育したものほど, 開花期は早く, 草丈は短く, 着葉数が少なくなつた. また最大葉の大きさも小さくなつた. 最大葉の着位は, 長日下のものほど上位節になる傾向があるが, 顕著な差異はなかつた. (table 1) 3) 開花期の樹型, とくに葉型についてみると (fig. 2), 長日下に生育したものほど, 節位ごとの葉型の変化がゆるやかで, 同じような葉型の葉が多くついた. 葉の生長は長日下で促された. 日長条件を途中で変更した時, その影響はその時の最小葉よりも2〜3節下位節に着生する葉から現われた. (fig. 2, 3, 4) 4) 各日長処理区の実験開始から花芽分化までの日数と, 終始12時間日長区の花芽分化までの所要日数との差をとり, 苗令の進行にともなう各日長条件下における発育変化の進行度を比較検討した. (fig 5) 14時間日長下においても発育変化は進行し, タバコは花芽をつけた. 苗令と発育変化の進行度との間に直線的な関係があつた. 発育変化の進行度は, 12時間日長下のものを1とするならば, 8時間, 10時間および14時間日長下では, それぞれ3.6, 3.3および1/5.2倍の比数を示した. これらの事から, 苗令の進行にともなつて日長感応度が強くなると言うよりは, むしろ開花促進物質が日日蓄積し, 花成の日長に対する依存度が減少すると考える.
日本作物学会の論文
1968-09-10

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