水稲の倒伏に関する研究 : 第II報 倒伏にもとづく減収原因の解析 (2)
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概要
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倒伏にもとづく減収の原因を明らかにする目的で, ポットに栽培した水稲農林29号を使い, 出穂直後から成熟期までの種々な時期に倒伏させ, ラジオアイソトープP^<32>でラベルした正燐酸を根部から吸収させて, その移行蓄積の状態を調べ, 同時に株起しの効果を検討した. 挫折倒伏した稲では, 地上部の各器官に移行蓄積する養分量が減少し, 減収の一原因となつている. この養分の移行蓄積阻害は, 挫折部の通導面積の著しい減少によつて通導抵抗が増加することと, 根における養分の吸収機能が低下することの両者が関係しているのが明らかになつた. しかしその影響度は前能の方がより大きいように考えられた. 挫折部の通導面積の減少は倒伏する時期が早ければ早いほど大きく, したがつて養分の吸収移行に対する障害も早期の倒伏ほど大きい. また倒伏に付随して起る遮光は, 養分の吸収移行障害を一層助長している. 倒伏後の株起しは, 通導面積の減少を少なくすると同時に遮光の悪影響を軽減するので, 養分の吸収移行障害を緩和する. しかし, 株起しの効果は早期の倒伏に対するものほど大きく, 後期の倒伏稲に対してはその効果が期待できない.
- 日本作物学会の論文
- 1964-07-30
著者
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