東南アジアを主とする世界における大豆品種の分化に関する研究 : 第3報熱帯産大豆品種の光週感応性について

概要

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前報で報告した, 熱帯産大豆 (ecot. indo-chinensis) の適応性を考察するために, 限界日長および短日条件下の生育を検討した. 1. 熱帯産大豆品種の開花についての限界日長は, 13〜14時間の範囲にあり, これはわが国の秋大豆型に較べて1時間ほど短かい. 2. 熱帯産大豆にもつとも多い無限伸育性品種は, 有限伸育性品種に較べて, 短日条件 (8〜10時間) 下で茎長が長く, 収量が多いことが認められた. 熱帯産大豆は, 熱帯産の稲と異なつて, 短日条件下での開花までの日数すなわち基本栄養生長期間の著しく長いものがない. しだがつてこの無限伸育性の特長が, 熱帯の気候に適合するものであることが考察できる. 3. しかし, 12時間日長下では, 熱帯および亜熱帯産大豆品種に開花までの期間の長い (35日以上) の品種が認められた. また, 開花期間, 結実日数, 生育日数, 茎長等も開花までの日数と同じように長いことが認められた. これらの品種は大部分無限伸育性であるから, 12時間日長下で開花までの日数の長いことと, 無限伸育性と両特徴が相まつて一層開花後の各発育期間を延長し, 茎を伸長せしめるものと考えられる. 4. 上記12時間日長下で開花までの日数の長い品種は, 熱帯および亜熱帯の海岸部および島嶼部に多く, 大陸部に少なく, また大豆の原産地と考えられる中国本土には見られなかつた. また, この特徴は, 品種の播種期の差異と関連して分化していることが認められた. よつて, このような熱帯産大豆の特徴は, 中国本土から熱帯ヘ大豆が伝播するとともに分化したもので, 無限伸育性と相まつて, 熱帯の比較的短かい日長に適応するものであると考えられる.
日本作物学会の論文
1961-01-20

東南アジアを主とする世界における大豆品種の分化に関する研究 : 第3報熱帯産大豆品種の光週感応性について

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