トリアコンタノールの葉面散布が水稲の生育・収量に及ぼす影響 : 第4報遮光並びに低温処理が登熟に及ぼす効果

概要

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出穂後の遮光処理並びに出穂直前の低温処理条件下における, 水稲の登熟に及ぼすトリアコンタノール(TRIA)の葉面散布の影響を調査した. 遮光処理は, 出穂期より収穫期まで約40%遮光し, 低温処理は, 出穂前の葉耳間長±0cmの日から9日間20℃/15℃(昼/夜)で行った. また, 全生育期間屋外で生育させた自然条件下でのTRIAの影響についても調査した. 環境条件に関わらず, TRIA処理により出穂後の籾重増加, 収穫時の玄米千粒重と登熟歩合が向上することが認められた. この出穂後の籾重増加効果は, 登熟中期以降に顕著であった. また, TRIA処理区では, 2次枝梗数の増加に伴い1穂籾数も増加した. さらに, TRIA処理区では, 穂軸と小枝梗を含む枝梗重並びに籾殻重が有意に増加した. 以上の結果から, 環境条件に関わらずTRIA処理された水稲では, 枝梗の発達および籾殻の生理的活性が促進されることを通じて, 穂部への炭水化物の転流・蓄積が増し, 登熟が向上する可能性が示唆された.
日本作物学会の論文
1996-09-05