二条オオムギ低タンパク系統の部位別窒素含有率の変化と種子貯蔵タンパク質の分画
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概要
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低タンパクの二条オオムギ系統(大系HC-15)と交配親のKarlとを用いて, 登熱期間中の部位別窒素含有率の変化を比較するとともに, 種子貯蔵タンパク質を分画した. 大系HC-15は, 登熱中期(出穂後3週間〜出穂後5週間)の穀粒の窒素蓄積量が少なく, 出穂5週間後の窒素含有率はKarlと大きな差がなかった. しかし, 登熱後期(出穂後5週間以降)は大系HC-15の窒素蓄積がKarlを上回り, Karlとの窒素含有率の差は拡大した. 成熟期の穀粒の窒素含有率は大系HC-15が1.81%で対照のミカモゴールデンより0.37%低く, Karlより0.17%高かった. 穀粒の窒素含有率は追肥を行った区でもほぼ同様の傾向がみられた. 大系HC-15の葉身の窒素含有率は, ミカモゴールデンに比べて登熱中期の低下が少なかったが, 後期には大きく低下し, 成熟期ではミカモゴールデンとほぼ同程度になった. Karlは登熱期間全般にわたって葉身の窒素含有率の低下が少なかった. 葉身窒素含有率の変化は, 穀粒の窒素蓄積の変化に一致し, 登熱期における窒素のシンク・ソース関係を反映していると考えられた. 種子貯蔵タンパク質の組成では, ミカモゴールデン大>系HC-15>Karlの順でホルデインの含有率に差が認められた. 全タンパク質に占めるホルデインの割合は, Karlが17.6%で最も少なく, 大系HC-15とミカモゴールデンはそれぞれ30%前後で大きな差はなかった. ホルデインは登熱後期に増加することが知られているため, 大系HC-15のホルデインの割合は登熱後期の穀粒における窒素蓄積量の多さと関連していると考えられた.
- 日本作物学会の論文
- 1994-06-05
著者
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加藤 常夫
栃木県経営技術課
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加藤 常夫
栃木県農業試験場栃木分場
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加藤 常夫
栃木県農業試験場
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佐々木 昭博
栃木県農業試験場栃木分場
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大塚 勝
栃木県農業試験場栃木分場
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神永 明
栃木県農業試験場栃木分場
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神永 明
栃木県農試
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佐々木 昭博
栃木県農試
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