水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第3報 量的形質の標本調査における各種標本抽出法の精度
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
標本調査では標本をランダム抽出するのが原則であるが, 調査労力や試験区面積の制約などから, 標本をシステマティックに抽出する場合が多い. しかし, このような抽出法により得られた標本平均値の精度と, 同じ標本数をランダム抽出した場合の精度との差異については, 収穫期の坪刈り調査を除いてほとんど明らかにされていない. そこで, 最高分げつ期および穂揃期の茎数・穂数・生体重を対象として, 各種の抽出法によって得られた標本平均値の精度を標本数が20株の場合について調査, 解析して, 調査の精度の確保と効率化の面から有効な標本抽出法について検討した. 手植え試験区では第1に, 最高分げつ期, 穂揃期の量的形質の株間変動の様相は, 条方向で大きく条間では小さかった. このために, 条方向に少数の標本を抽出する方法は精度が悪く, 条方向に多数の標本を抽出する方法は精度が高かった. 第2に, 試験区を条方向, 株方向ともに二等分して4ブロックに分け, 対角に位置する2ブロックからそれぞれ条方向に連続した10株を抽出する方法は, ランダム抽出とほぼ同等の精度が安定的に得られ, 労力的にもランダム抽出に比べると省力的であり, 有効な抽出法であることが分かった. 調査対象形質の変動係数が小さい穂揃期には, 条方向に連続した20株を抽出する方法および条方向に連続した10株を抽出した後に, 左右どちらかの隣接条に移動してそこからさらに条方向に連続した10株を抽出する方法が, より簡便で精度も比較的に高く, 有効な抽出法であった.
- 日本作物学会の論文
- 1992-09-05
著者
関連論文
- 水稲の圃場試験調査法の改善に関する基礎的研究
- 直播栽培における密播適応性の指標
- 多収性水稲における出穂後追肥が葉枯れおよび収量に及ぼす影響
- 3 タカサブロウ種子の生態的特性
- 78. 水稲機械移植育苗におけるムレ苗発生の一原因
- 13. 晩播乾田直播栽培の適品種 : 半矮性外国稲,多粒系統の密播適応性(予報)
- 早晩性が異なる水稲間における分げつ停止の様相比較
- 水稲の倒伏軽減剤試験における節間長の一改善調査法
- 109 多収性水稲品種アケノホシ、ホシユタカおよび中国108号における冠根の本数と太さ
- 56 水稲圃場試験の標本調査における最高分げつ期乾物重の調査法 : 1. 重複抽出による比推定法における標本株数と精度
- 55 アケノホシの多収栽培における茎葉部及び根部の初期生長
- 54 多収性水稲品種アケノホシの収量限界
- 17 湛水土壌中直播栽培水稲の葉および穂に対する倒伏軽減剤CGR-811粒剤の影響
- 12 水稲圃場試験の標本調査における各種標本抽出法とその精度
- 近畿中国地域における水稲湛水土壌中直播栽培の現状と問題点
- 湛水土壌中直播栽培における倒伏軽減剤の効果
- 機械移植水稲の主要調査項目の株間変動と調査必要標本数
- 手植え水稲の主要調査項目の株間変動と調査必要標本数
- 12 水稲の耕起乾田直播栽培における作期と発生雑草についての一観察
- 93 昭和58年山陰地方水害地の土砂堆積水田における被害水稲の生育と2,3の特徴
- 19 水稲中国91号の収量構成要素からみた多収性
- 水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第5報 葉面積の効率的調査法
- 水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第3報 量的形質の標本調査における各種標本抽出法の精度
- 水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第2報 機械移植水稲における量的諸形質の変動係数と標本数の目安
- 水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第1報 量的諸形質の変動係数と標本数の目安
- 57 水稲圃場試験の標本調査における最高分げつ期乾物重の調査法 : 2. 重複抽出による比推定法の有効性の検討
- 水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第4報 乾物重の効率的調査法