水稲圃場試験調査法の改善のための基礎研究 : 第2報 機械移植水稲における量的諸形質の変動係数と標本数の目安
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概要
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水稲の機械移植では, 1株植付け本数を一定にすることは一般に困難であり, この本数にはばらつきが生じる。このばらつきは, その後の水稲諸形質の株間変動に影響を与えているものと考えられる。そこで, 通常の機械移植水稲における量的諸形質の株間変動係数, また, 1株植付け本数をランダムに変動させた場合の量的諸形質の株間変動係数に及ぼす影響を調査, 解析し, 標本調査を行う場合の必要標本数について検討した。1株植付け本数の変動係数が40%程度の機械移植水稲においては, 草丈, 稈長などの伸長形質の変動係数は手植え水稲のそれに比べてほとんど差が認められなかった。しかし, 茎数, 穂数, 全籾数などの数量形質および乾物重, 穂重などの重量形質の変動係数は機械移植水稲の方が大きい傾向にあり, その差は, 最高分げつ期に最も大きく, 穂揃期, 成熟期へと生育が進むに従って小さくなった。さらに, 数量形質, 重量形質の変動係数は, 1株植付け本数の変動係数が20%までは増大の程度が小さかったが, 40%になると急増した。機械移植水稲の標本調査を行う場合, 手植え水稲における調査と同程度の精度で推定値を得るのに必要な標本数は, 伸長形質については手植え水稲と同数, 数量形質, 重量形質については, 最高分げつ期では手植え水稲の2.3倍程度, 穂揃期では1.7倍程度, 成熟期では1.2倍程度が必要と判断された。また, ポット成苗田植機のように1株植付け本数の変動係数が20%程度以下の場合には, 手植え水稲における標本数と同数で良いと判断された。
- 日本作物学会の論文
- 1990-12-05
著者
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