登熟期のイネの穂及び止葉葉身におけるエチレン生成の変動特性
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概要
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出穂期から糊熟期にかけてのポット及び圃場栽培イネから切り採った穂及び止葉葉身のエチレン生成能の明暗条件による差異, 生育時期別変化及びこれに対する植物生長調節剤の影響について検討し, 以下の結果を得た. 1)乳熟期の穂と葉身を各々ガラス試験管に入れ, 密栓して培養しエチレン生成能を調べたところ, 明暗条件で著しい差異を認めた. すなわち, 穂でのエチレン生成能は光条件下(約30μE・m^<-2>・sec^<-1>)で著しく促進され暗黒条件下で阻害されたが, 葉身では暗黒下で顕著に促進され, 光条件下では阻害された. 2)両器官からのエチレン生成は, 少なくとも培養開始後48時間までは培養時間と生成量との間にほぼ直線関係が認められたので, 穂は光条件で, 一方葉身は暗条件で最初の24時間に生成したエチレン量を指標として各器宮からのエチレン生成能を検討した. 3)穂のエチレン生成能は, 開花・受精後から徐々に増加し始め, 乳熟期に最高値に達した後漸減して糊熟期には低いレベルに落ち着いた. 一方, 止葉の葉身についてみると, 開花後から乳熟後期までは一貫して高レベルのエチレン生成能を維持したが, その後は葉身の老化に伴って生成能が激減した. 4)イネい登熟に促進的に作用するとされる矮化剤(パクロブトラゾール, GRH-624)とブラシノステロイド(ブラシノライド, エビブラシノライド)は, エチレン生成能に対する処理薬量間差異は明白ではなかったが, 何れもイネの穂が乳熟期に示すエチレン生成能の最高値を更に押し上げると共に一穂重を増加させた.
- 日本作物学会の論文
- 1992-06-05
著者
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