数種の下胚軸伸長型マメ科作物芽ばえの荷重に対する反応
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概要
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下胚軸伸長型マメ科作物8種9品種を供試し, 25℃暗黒条件下で育てた長さ1cmの芽ばえに荷重をかけ, 48時間後に芽ばえの伸長量, エチレン発生量および下胚軸の太さを調査した. その結果, 荷重が増大するに従って芽ばえの長さが短くなり, エチレン発生量および下胚軸の太さが増大した. 芽ばえの伸長が無処理区に比べ有意(5%水準)に抑制された「最小荷重」はモスビーン, ケツルアズキは5g, ダイズ:アソアオガリは7.5g, リョクトウ, ササゲは10g, ダイズ:アキセンゴクは20g, インゲンマメ, フジマメは30g, ラッカセイは160gであった. 一方, 芽ばえからのエチレン発生量の増大については, (i) 有意な増加が「最小荷重」より小さい荷重で起こった作物:モスビーン, インゲンマメ, ラッカセイ, (ii)「最小荷重」と同じ荷重で起こった作物:リョクトウ, ダイズ:アキセンゴク, および(iii)「最小荷重」より大きい荷重で起こった作物:ケツルアズキ, ダイズ:アソアオガリ, ササゲ, フジマメ, の3種類がみられた. また, 下胚軸の有意な肥大は, 各作物とも芽ばえの伸長抑制およびエチレン発生量の有意な増加がみられた荷重と同じか, それより重い荷重で起こった. 芽ばえの「最小荷重」は種子重(r=0.851^<**>), 下胚軸の太さ(r=0.978^<***>)および最大抽出力(r=0.922^<***>) と高い正の相関関係が認められた. 胚軸の単位横断面積当りに換算した値でみると, エチレン発生量が有意に増加した最小の荷重は各作物ともほぼ同程度であったのに対し, 「最小荷重」は作物によって異なり, ササゲやケツルアズキでは小さく, ラッカセイやインゲンマメでは大きかった. また, 芽ばえの伸長が最も抑制された荷重「最大荷重」は40〜320 gで, ササゲを除けば「最小荷重」が大きい作物の芽ばえほど大きく, 芽ばえの最大抽出力よりやや小さかった.
- 日本作物学会の論文
- 1991-09-05
著者
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