骨と血管から見たGTR (第2回大阪歯科学会シンポジウム 組織誘導再生法(GTR)の現状と将来の展望)
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概要
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KarringやNymanらによって始まったGTR法は, 歯周外科処置としてバリア腹によって上皮と歯肉結合組織由来の肉芽組織が歯根面に接触するのを阻止し, 歯根膜由来の組織を誘導することで歯根吸収を伴わずに新付着を獲得することを目的としたものである. 近年, このGTR法が歯槽骨の再生も可能なことから,歯槽骨再生を主目的としたものを骨誘導再生(GBR)法と呼び, GTR法から区別し歯科インプラント等で応用されている. このようなGTR・GBR法に用いられるバリア膜は, Miliporeフィルターが最初で, その後polytetrafluoroethylene (PTFE)膜が開発され, バリア腹として実用化された. しかしながら, このPTFE膜は, 非吸収性のためそのまま生体内に留置することがでぎず, 除去する必要がある. そのために2度目の外科的侵襲を加えなければならず, 患者への苦痛が倍増する. そこで, 除去の必要性をなくすために各種の吸収性膜が開発され, 実用化されている. これらのバリア腹の骨再生効果に関して, 各種のバリア膜を抜歯窩に応用し, 実験を行った. すなわち, その時の冶癒過程における血管構築と骨形成について検索し, それらの効果を判定した. その結果, バリア膜は, 組織もしくは骨を積極的に誘導するものではなく, これらの組織を形成・再生する場を確保するものであり, 冶癒もしくは再生に必要な血液供給を一部遮断するため, 早期の冶癒がやや遅れるといった傾向が見られる. したがって, バリア膜の効果は, 冶癒を早めることよりも, 形成される骨の量をできるだけ多くすることにあると考える. 上記の結果から, GTR・GBR法にはバリア膜の使い分けが必要であると考えられる. バリア膜はGBR法としての歯槽骨再生への応用効果は問題ないが, GTR法として軟組織に関しては, 血管から見てまだ改良の余地があると考えられる.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-03-25
著者
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