ヒト歯髄線維芽細胞のアルカリホスファターゼ活性に関する研究
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概要
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ヒトの歯髄組織に由来する, 性質の異なる2種の線維芽細胞 (HPF-1およびHPF-2) の増殖能, タンパク合成能, アルカリホスファターゼ (ALPase) 活性, および走化性を検討し, ヒト歯肉由来の正常線維芽細胞株 (Gin1) と比較した. 線維芽細胞は10%の割合でウシ胎児血清を添加したDulbecco's modified Eagle培養液中で培養して実験に用いた. 増殖は細胞数の増減で, タンパク量はprotein-dye binding法で, ALPase活性はフェニルリン酸法で, 走化性はmembrane filter法でそれぞれ測定した. その結果, HPF-1の増殖はHPF-2より活発であったが, タンパク量の増加率では差がなかった. HPF-1およびHPF-2のALPase活性は活性型ビタミンD_3を添加するとそれぞれ約5倍および10倍以上に上昇した. HPF-1のconditioned mediumを添加した培養液中で増殖能が最も増強したのはHPF-1で, 続いてHPF-2, Gin 1の順に細胞数の増加率は低くなった. しかし, 総タンパク量を比較すると細胞間で差は認められなかった. また, conditioned medium添加によってHPF-1およびHPF-2のALPase活性はそれぞれ対照の約2倍および3.5〜5倍に上昇した. Conditioned mediumに対する走化性を比較した実験では, すべての細胞株にほとんど同程度の活性が認められた. 以上の結果から, ヒト歯髄由来の線維芽細胞はヒト歯肉由来の線維芽細胞と比較して, 活性型ビタミンD_3に対するALPase活性の反応性が大きく異なる. また, 歯髄の線維芽細胞には, 細胞の増加数と総タンパク量の比率やALPase活性の反応性が異なる細胞種が混在する. これらの細胞の性質を明らかにすることが歯髄組織の特殊な生物学的性質を解明する手がかりになると考える.
- 1990-12-25
著者
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