いもち病菌プロトプラストの細胞壁再生および生合成に及ぼすポリオキシン D の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
いもち病菌菌糸体から調製したプロトプラストの細胞壁再生および生合成系に及ぼすポリオキシンの影響について, 感受性の異なる菌株を用いて検討した.感受性株プロトプラストの再生発芽および菌糸体復帰は抵抗性株プロトプラストに比べてポリオキシンによって強く阻害され, とくに, 再生発芽が強く阻害された.菌糸体や胞子に比べて, プロトプラストのポリオキシンに対する感受性は高まった.特異的糖鎖に結合するコンカナバリンAおよびサクシニル化コムギ胚芽レクチンを再生発芽過程に作用させると, ポリオキシン処理によりサクシニル化コムギ胚芽レクチンの再生菌糸への結合がほとんど観察されなくなった.また, プロトプラストへのアミノ酸, チミジン, 酢酸, グルコースの取込みはほとんどポリオキシンの影響を受けなかったが, ^3H-N-アセチルグルコサミンの細胞壁画分への取込みは感受性および耐性変異株ともにポリオキシン5∿10μg/mlから強く阻害された.ウリジンの取込みはポリオキシン50∿100μg/mlでむしろ増加した.これらの結果は既報のポリオキシンの作用機構を支持しており, プロトプラスト系が作用機構研究に有用であることを示唆していた.
- 日本農薬学会の論文
- 1988-05-20
著者
-
若林 攻
Department of Agricultural Chemistry, Faculty of Agriculture, Tamagawa University
-
若林 攻
Department Of Agricultural Chemistry Faculty Of Agriculture Tamagawa University
-
若林 攻
Research Centre, Mitsubishi Chemical Industries Limited
-
寺岡 徹
Department of Plant Protection, Tokyo University of Agriculture 〓 Technology
-
VEGA Carmen
Department of Plant Protection, Tokyo University of Agriculture 〓 Technology
-
細川 大二郎
Department of Plant Protection, Tokyo University of Agriculture 〓 Technology
-
渡辺 実
Department of Plant Protection, Tokyo University of Agriculture 〓 Technology
-
Vega Carmen
Department Of Plant Protection Tokyo University Of Agriculture 〓 Technology
関連論文
- 藻類およびコケ培養細胞に対する rhodanine と 2(5H)-thiophenone の効果
- チアジアゾリジンおよびトリアゾリジン化合物の過酸化植物毒性
- トリクロロメチル-1, 3, 5-トリアジン類の合成と硝酸化成抑制作用
- 環状イミド系除草剤の植物色素生合成に及ぼす影響
- 環状イミド系除草剤の高等植物 chlorophyll 生合成に及ぼす影響
- Rational Approaches to Structure, Activity, and Ecotoxicology of Agrochemicals, W. Draber and T. Fujita 編, CRC Press, 1992, 581 ページ
- 会議の概要(第 7 回国際農薬化学会議)
- 膜脂質過酸化性除草剤の効果 : 明条件下-暗条件下における(環状イミド系除草剤の)効果比較
- 環状イミド系除草剤の分子設計に関する研究
- いもち病菌プロトプラストの細胞壁再生および生合成に及ぼすポリオキシン D の影響
- ヨトウガ終齢幼虫における 1-(3, 5-dichloro-2, 4-difluorophenyl)-3-(2, 6-difluorobenzoyl)-urea (CME-134) の表皮透過, 吸収, 移行
- 除草剤を中心とした研究の動向(第 6 回国際農薬化学会議(1986, オタワ)の紹介)
- 除草剤関係(第 10 回国際植物保護会議)
- 作物保護とバイオテクノロジー(その 1) : その現状と将来
- VII その他(おもな演題, ハワイ年会 : 農薬化学部門)
- はじめに(ハワイ年会 : 農薬化学部門)
- 主題 IV 農薬の作用機構(第 4 回国際農薬化学会議のおもな演題)
- 新しい農薬 : 浸透性殺菌剤, R.W. Marsh 編, 山本出 監訳, 講談社サイエンティフィック, 1976.7, A5判, 321 ページ, 3, 800 円
- 植物毒性を有する 1, 2, 4-triazolo[1, 5-α]-1, 3, 5-triazine 誘導体の合成