Pythium aphanidermatum に対するヒメキサゾールの作用機構
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概要
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液体培養においてP.aphanidermatumの菌体重の増加は, ヒメキサゾール3 μg/ml添加5時間経過した後急激に抑制された.生育菌糸の呼吸はヒメキサゾールによって直接阻害されることはなかったが, ヒメキサゾール添加3時間以後の呼吸の増加はほぼ完全に抑制され, この時間からヒメキサゾールの作用が始まっていることを示した.^<14>C-酢酸および(^<14>C-メチル)メチオニンの脂質画分への取込みは, ヒメキサゾール添加3時間内ではほとんど阻害されなかった.^<14>C-フェニルアラニンの蛋白画分への取込みもヒメキサゾール添加4時間内にはまったく阻害されなかった.^3H-ウリジンのRNA画分への取込みは, ヒメキサゾール添加2時間以後約50%阻害された.しかし, ^<14>C-アスパラギン酸のRNA画分への取込みはヒメキサゾール添加3時間以内は阻害されず, ヒメキサゾールの主作用点がRNA合成過程であるとは考えられなかった.またヒメキサゾールは遊走子の発芽過程における核分裂および核の移動をまったく阻害しなかった.菌体によって吸収されるヒメキサゾール量はきわめて少なかったが, 吸収量は2時間内に最高に達するので, 抗菌活性の発現に要するlag periodは, ヒメキサゾールが吸収されるに要する時間であるとは考えられなかった.ヒメキサゾールの抗菌活性の発現が遅延するのは, ヒメキサゾールが活性物質へと変換される必要があるためか, あるいは生育に対する影響が遅れて発現する代謝系を阻害するためであると思われる.
- 1983-05-20
著者
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中西 逸朗
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
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中西 逸朗
Agricultural Chemicals Research Laboratories Sankyo Co. Ltd.
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SISLER Hugh
Department of Botany, University of Maryland, College Park
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Sisler Hugh
Department Of Botany University Of Maryland
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Sisler Hugh
Department Of Botany University Of Maryland College Park
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