侵入阻害剤処理イネいもち病菌およびメラニン欠損変異株のメラニン前駆体による付着器侵入能の回復
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概要
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イネいもち病菌の付着器によるタマネギ表皮細胞への侵入能は, アルビノ株や, メラニン生合成阻害剤であるセルレニン, フサライド, トリシクラゾールで処理された野生株では欠損していた.シタロンおよび1, 8-ジヒドロキシナフタリン(1, 8-DHN)の添加によって, アルビノ株およびセルレニン処理された野生株のメラニン生成と侵入能は回復した.シタロンによる回復効果はフサライドあるいはトリシクラゾールによって打ち消されたが, 1, 8-DHNによる回復効果は妨げられなかった.フサライドあるいはトリシクラゾール0.1μg/mlで処理された野生株の侵入能は, 1, 8-DHNの添加によって回復したが, 1, 10μg/ml処理区ではセルレニンを添加しなければ, 1, 8-DHNによる回復効果は認められなかった.以上の結果から, フサライド, トリシクラゾールによるメラニン生合成経路の阻害は二つの侵入阻害作用, (1)メラニン合成系の阻害, (2)阻害性物質の蓄積, をもたらすことが示唆される.後者の作用は前者に随伴して起こると推察されるが, その効果はセルレニンによって打ち消された.
- 1987-02-20
著者
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SISLER Hugh
Department of Botany, University of Maryland, College Park
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千田 常明
Kureha Chemical Industry Co., Ltd., Nishiki Research Laboratories
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Sisler H
Department Of Botany University Of Maryland College Park
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Sisler Hugh
Department Of Botany University Of Maryland
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千田 常明
呉羽化学工業株式会社錦研究所
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