顔料の色変化に及ぼす環境の影響(第2報)

概要

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古代の洞くつの壁画, 建築物の内装, 日本画などに使われている顔料は, 時の経過につれて変色する。我々は, そうした顔料が, さらされる環境的条件によって, その変色に差異を生じるが否かについて研究を行ってぎた。我々の実験においては, 古くから使われてきたと考えられる11種類の顔料が, 5種類の素材に塗布された上, 4つのそれぞれ異なった環境的条件下に置かれて, それらの色の経時変化が試験された。この報告は, 我々の実験が開始されてから, 10年後に得られた結果を示すものである。カラー・コンピューターSM4型1台が, 試料の色の測定に使用された。10年後, 次の結果が得られた。1.露光して変退色した顔料・・・・・・鉛丹, 銀朱 2.4つの異なった環境的条件の間で, 変色にほとんど差異を示さなかった顔料・・・・・・緑青, 油煙 3.標準状態(20±2℃, 65±2%RH)に保つことが望ましいと考えられる顔料・・・・・・群青, 鉛丹, コチニールレーキ 4.湿気により変色したものと測定される顔料・・・・・・胡粉, 鉛白, 群青同上, ただしその程度のより少ないもの・・・・・・黄土, べんから, 紺 5.太陽光および昼光に対する露光器の中において変退色した顔料の, その度合いの大きさによる順位・・・・・・鉛丹>銀朱>黄土>, 群青, 紺>鉛白>胡粉>緑青, べんから(コチニールレーキと油煙の試料のなかにはほぼ完全に消失したものもあった) 6.顔料を塗布した素材もまた変色に影響を及ぼした。
1996-08-01

顔料の色変化に及ぼす環境の影響(第2報)

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