共同研究 18 CXCR4標的化遺伝子治療用レトロウィルスベクターの開発
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概要
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乳癌細胞はCXCR4の発現が亢進していることが報告された。CXCR4を標的としたレトロウィルスベクターは乳癌細胞特異的に遺伝子導入可能で,乳癌の遺伝子治療に役立つと考えられる。この目的で,CXCR4のリガントであるSDF-1を挿入したマウス白血病ウィルス(MLV)エンベロープ蛋白質(Env)が作成された。このキメラEnv蛋白質を持つレトロウィルスベクターはCXCR4を介し遺伝子導入可能であったが,その遺伝子導入効率は実用的でなかった(M. Katane, E. Takeo, Y. Kubo, R. Fujita, and H. Amanuma. 2002. Factors affecting the direct targeting of murine leukemia virus vectors containing peptide ligands in the envelope protein, EMBO rep 3: 899-904)。T細胞トロピックーヒト免疫不全症ウィルス(HIV)の感染は,感染受容体としてCD4およびCXCR4の両方を必要とするが,最近,CD4非依存型でCXCR4のみを介して感染するHIVが見つかった。このHIVは,人為的に作成されたキメラMLV EnvによるCXCR4標的化レトロウィルスベクターと異なり,自然に存在するウィルスなので,より感染効率が高いと考えられる。そこで,CD4非依存性HIV Env蛋白質を持つレトロウィルスベクターを作成し,様々な細胞における遺伝子導入効率を測定した。
- 長崎大学の論文
著者
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久保 嘉直
長崎大・熱帯医学研究所・エイズ感染防御
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久保 嘉直
長崎大学熱帯医学研究所エイズ感染制御分野
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天沼 宏
理化学研究所中央研究所
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天沼 宏
理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター安全評価研究室
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